「来たか。自粛中に連絡なんかいれて悪いな。ジョンも一緒か」
セルジオはコーヒーポットに湯を注いでいたが、店内に入ってきたティナとジョンを見ると、声をかけた。忙しい夕方時に喫茶店で休むような人間は少ないのだろうか、店内には数えるほどの客しかいない。セルジオの雇っているウェイトレスが一人、暇そうにしていた。セルジオは湯を注ぎ終わったあとのポットを棚に置き、水を入れ直す。
「いいさ。呼ぶってことは、仕事が入って来たってことでしょ?」
ウェイトレスに会釈して、ティナはカウンター席に座った。ジョンもその隣に座る。セルジオは2人の前にコップを置き、氷とミネラルウォーターを注いだ。
「割がいいかはわからんが、お前さんに頼みたい仕事が入ってきた。市警からだ」
「また?最近、多いね」
カウンター下の引き出しからセルジオは一部の書類を出した。アドラシスコシティからの正式な依頼状だ。依頼者欄にはアドラシスコ市警とある。
「先週、爆弾魔事件で右往左往してるときに、ある女優の自宅に脅迫状が届いた。今すぐ活動をやめて引退しないと、命の保証はないという内容だ。ファンなら普通は反対のことを言いそうなもんだがな。女優の名前はアメリア・ラール。知ってるだろ?元ミュージシャンで、2年ほど前に女優になってから、ひっぱりだこの…」
書類の上に置かれた顔写真には、先ほどの映画で見た顔が載っている。
「ああ、この人の主演映画、今見てきたところなんだ。内容はよくわかんなかったけど」
ジョンが顔写真を見て口を開いた。出された顔写真は、パンフレットに載っていた彼女の写真とは違う。顔写真では頭髪や体毛は少しぼさぼさとしているし、目は何かにおびえたような色を見せている。美人ではあるが、女優には見えない。
「その映画なんだ。収録中にも脅迫の手紙は来ていたらしい。だが、そのときにはあまり重要視していなかった。ファンも多いし、こんなことで活動はやめられないと言っていた。ちょうど脅迫が始まったのが3ヶ月前、2の撮影が始まってからだ。だが、 先週の手紙の届いた後、新作のロケへ移動する彼女の車が銃撃に会った」
2枚目の写真を出すセルジオ。その写真には、エア・フライヤータイプのリムジンが穴だらけになっている姿が映し出されていた。車体はかなりゆがみ、つぶれている。どうやらかなりの高さから落とされたらしい。
「アメリア本人は無事だったが、ボディガードと運転手が重傷。病院で治療を受けている。そこから昨日、依頼が来た」
ティナは写真をどかし、書類を持ち上げた。書面には、「護衛」とだけ書かれている。
「護衛、ね。なんでわざわざあたしに?カフェなら他にも腕の立ちそうなのを知ってると思うけど」
「最後まで読んでみろ。要項に、腕の立つ、女性のボディガードとある。Aランク以上のアタッカーで女なんか、お前さんを含めても数人しかいないんだぜ?」
促されて書類の要項を見るティナ。女性、ランクA以上を望む、泊まり込みで護衛可能な者、報酬は基本給で800、残りは応相談とある。
「バウンティハンターじゃだめなんだ?」
「ああ。腕がいいやつは多いが、身元保証が弱い。一歩間違えればちんぴらのようなやつらもいるしな」
しばらく書類をにらんでいたティナは、目を閉じて顔を上げた。
「泊まり込み?どれくらいの間ってのが書いてないけど?」
「代わりのボディガードが見つかるまでだ。大体、4日から5日で代わりは見つかるだろう、とのこと。要するに、その間、金魚のフンみたいについていけばいいんだよ」
契約内容を何度も確認するティナ。持ち込める物は生活用品と必要武器、武器は市民や撮影スタッフに圧力をかけないように、携帯して隠せることが条件に入っている。アシスタントは必要ならば数名と書かれており、その場合も泊まり込みで護衛に参加することと書いてあった。しばらくじっと考えていたティナだが、書類を置いて頷いた。
「うん、わかった。アシスタントがオーケーらしいし、ジョンも連れてくよ」
「ジョンをか?うーん、社会経験にはいいかもしれんが…」
ティナの言葉に、セルジオは顔をしかめた。セルジオから見てみれば、ジョンが来てから、ティナはジョンのことにかかりっきりになっているように見える。服を買いに行ったり食事をしたりなどのことはもちろん、銃の使い方やトレーニング、爆弾解体まで教えている。ティナがジョンのことで束縛されているのではないか、と彼は心配しはじめていた。
思えば、ジョンの父母から彼の護衛任務を頼まれたのがちょうど1週間と3日前。7月の入り鼻だ。その依頼が終わって、ジョンは両親と一緒に別の州へ移動することになったはずだったが、彼は単身こちらへ戻ってきた。そして今はティナの家へ居候している。ティナも親と電話で話しあい、ちゃんと請け負うと言い切ったが、端から見れば子供のわがままに付き合わされているようにも見える。
「お前さんはどうなんだ?どうも、覚悟があるって豪語してたわりには、ティナの足を引っ張ってるように見えるぞ」
セルジオはジョンを見下ろす。店内に新しい客が入ってきて、ウェイトレスがいらっしゃいと声をかけた。
「迷惑をかけてるのはわかってる。でも、強くなりたいっていうのは本気なんだ」
ジョンはまっすぐにセルジオを見上げる。少年の目は本気だ。今のアメリカには様々な人生を歩む人間がいる。人を殺してしまい自分を追い込んで自殺する男、スラムに生まれて強盗以外の生きていく術を持たない少年、小学生にもならない年齢から普通に体を売る少女。そういった人種と比べると、ジョンはいい育ちをしているように見える。それを捨てる意味は、果たしてあるのだろうか。
「はあ、ご立派なこって」
少年特有のヒロイズムに、セルジオはあきれたため息をついた。
「大丈夫でしょう。こいつはあたしに前許可もなく、こっちに戻ってくるほど思い切ってたんだ。もうしばらく様子を見させてほしいね」
コップの水を一口飲み、ティナは言う。
「もし途中でへたれたらどうするんだ?」
「そのときはそのときさ。ネージュだってこいつのことは気に入ってるし、アタッカーは諦めてコックにでもさせるさ」
ネージュという単語に、ジョンは思わずびしっと尻尾を立てた。ネージュというのは、ティナと同い年の女性アタッカーの名前だ。本名はネージュ・ライルマース。狐人アクラーと人間のハーフで、耳と尻尾、背中部分の微量の体毛以外はほとんどヒューマンと変わらない姿をしている。銃…特にショットガンが好きで、それと同時に相当な男狂いでもある。アタッカーをする傍ら、料理の修業をしており、将来は料理家になるんだと豪語していた。
「はあ…乱暴な言いようだな。お前の支えになると思ってたが…」
「十分支えになってるよ。こう見えて、結構楽しいんだ。初心者相手に教えるってのもいい経験さ。一度、こいつに助けられてるしね」
しどろもどろになりながらつぶやくセルジオに、ティナは答えを返す。一人の時に比べて、生活にメリハリができたのも事実だ。ティナ自身、この生活を楽しんでいる。また、ジョンと出会うことになった事件で、ティナは麻薬密売組織を指揮していた男に監禁されたことがあったが、そのときにはジョンはティナを助けに来ていた。少年は日々成長しているし、それ故に毎日が面白い。
「ったく。あんまティナに迷惑かけてやるなよ?今回の依頼は結構大きいんだからな?」
セルジオはあきらめた声を出し、ジョンの頭をくしゃくしゃとなでる。
「大丈夫だって。そんなに心配してくれないでも。うまくやるよ」
セルジオの手をどかしながらジョンが答えた。
「じゃあ、アシスタント一人つけて、この仕事、請け負うよ。本人に会わないまま話を進めるのは、ちょっと不安な気もするけどね」
ティナはジャケットの胸ポケットからペンを出し、書類にサインをいれてセルジオに渡した。几帳面な字のサインを確認すると、セルジオは裏の控えをちぎり、ティナに渡した。
「実は今、2階にアメリア本人と、マネージャーが来ているんだ。行って、ちょっと話をしてきてくれないか。もしダメなようなら、この契約書はないことにできるから、安心してくれ。特になにもないようなら、話が終わったらそのまま帰ってくれていい」
セルジオの言葉を聞き、ティナとジョンは立ち上がった。スタッフオンリーの押し戸を開け、狭い階段を昇る。ひんやりと冷房が効いた室内から、だんだん蒸し暑い2階へと空気が変わり、こもった熱気と臭いが2人を包み込んだ。
2階のオフィスのドアを開けて中に入るティナ。そこにいたのは、うなだれてソファーに座っているアメリアと、忙しそうに携帯端末をいじっているヒューマンの男だった。アメリアは写真で見たのと同じ顔をしていた。不安そうな目、疲れた顔、スクリーン上では美しかった豹柄の体毛は、今はばさばさしている。頭髪はティナの茶色より、少し黒い。彼女の着ているワンピースは、ぱっと見でわかる有名ブランド品だ。隣に座っている男はまるでマッチ棒のようにやせている。めがねをかけ、顔色は白く、ワックスをたっぷり塗りこんでいるであろう黒髪はねっとりとしている。この暑いのにスーツにネクタイをしている。熱気で気がつかなかったが、一応ここのエアコンも動いているらしい。音ばかりうるさく、冷えない風が、部屋の中をぐるぐると回っている。
「失礼。あなたがアメリアさん?そちらはマネージャーの方?」
ティナが入ってきて、2人は顔をあげた。
「ああ、君が条件にあうアタッカーか。私はアメリアのマネージャーのジェームス・ラッカーだ。よろしく」
ジェームスは立ち上がってにっこり笑い、ティナに握手を求めた。ティナは握手に応じて、軽い作り笑いをしてみせる。アメリアはしばらくティナを見つめたあと、顔を落とした。ジェームスの目が隣に立つジョンに移り、彼は怪訝な目で少年を見つめた。
「失礼だが、君は子持ちだったのかね?母になったアタッカーは、怪我を恐れ、勇猛には戦ってくれないというのが一般論だ。私はアメリアを危険な目に遭わせないために君を雇うつもりなのだが…」
「こいつはアシスタント。見た目は子供かも知れないけど、優秀よ。正直な感想も、すぎると無礼になるってこと、わかってる?」
ティナは目を細めてジェームスをにらんだ。ジョンはあまり面白くなさそうな顔で、彼の顔を見上げる。どこに行っても少年扱いのジョンだが、ティナの子供に見られたのは初めてだ。もちろん、あまり彼には面白いことではない。
「ああ、こ、これは失礼。よく言われる。そうか、少年もアタッカーか。いや、見た目で判断しているわけではないんだが、確実性をだな。つまり、アメリアを守りたいというのが本音で…」
ジェームスはおどおどとし始める。時折、アメリアの方をちらと見るが、アメリアは顔を上げない。だいぶ憔悴しているようだ。
「失礼。話がしたいから、かけてちょうだい」
ティナは弁明を続けるジェームスの横を通り過ぎ、アメリアの向かい側に座った。ジョンもティナの隣に座る。
「あたしはアタッカーのティナ・フィウス。こっちはあたしのアシスタントをしてくれてるジョン・アレッド」
ティナの紹介にジョンは頭を下げた。アメリアはしばらくして、顔を上げた。
「アメリア・ラールと言います。あなたの力を借りたいんです」
追いすがる捨て猫のような視線に、ティナは思わず目をそらした。アタッカーとして一人前だと自信を持っているわけではないので、そこまで頼られると、どうすればいいのかわからなくなってしまう。
「概要はナスカル氏から聞いたと思う。つい数日前、アメリアは銃撃を受けた。それ以来だ。彼女はたった数日で、こんなにやつれてしまった。相手が皆目検討もつかないのだ。熱狂的なファン、ストーカー、昔のクラスメート、様々な可能性が考えられる」
ジェームスが口を挟み、アメリアの方を向いた。アメリアが同意するように頷く。
「人気出ると大変なんだね」
ジョンが自分には関係のない世界のことのようにぼんやりとつぶやいた。ブラインドの隙間から、鳩が飛んでいるのが見える。鳩は平和の象徴だと言うが、この街にはまだ平和は訪れていないようだ。
「代わりのボディガードが来るまでの間、まことに申し訳ないが、君にアタッカーとしてボディガードを頼みたい。およそ5日で代わりが来るだろう。基本給800ドル、日給はプラス100ドルで頼みたい。明日の午前9時にこちらへ迎えに来るので、それまでに準備しておいてくれ。いいかね?」
ジェームスの言葉に、ティナは頷いた。
「わかった。着る物は自由でいいの?どうしてもボディガードっていうとスーツってイメージがあるけど」
「ああ、かまわない。あと、君と共に働く仲間として、間に合わせだが、サイバネスーツ着用の警備員と、アンドロイドを数体呼んだ。アメリアの部屋の中は君に守ってもらうことになるが、外や屋敷内は彼らに守ってもらうことになる。的確な指示を出してくれたまえ。あと、アシスタントの君だが…」
ジェームスはジョンの方を振り向く。
「何か?」
ジョンは座り直し、ジェームスに聞く。
「いや、どうしたものか考えているのだ。小さくても男性は男性だから、もし特に必要ではないのなら、他のガードと同じように部屋の外で待機してもらったり、別の部屋で待機してもらったりした方がいいのではないかと。いや、なにかするのではないかと疑っているわけではないんだが…」
「私ならば大丈夫です。ティナさんと一緒にいてください」
アメリアが唐突に口を開き、ジェームスが振り返った。
「大丈夫かね?部屋に人がいるという状況にも慣れていないのに、2人も部屋にいれて」
「ええ、大丈夫です。どっちにしろ、以前から一人で外出もできてないんですから。人がいるのには慣れてます」
アメリアは言うことは言ったという顔で、またうつむいた。ジェームスは一瞬なにか言いたそうな顔をしたが、すぐに口をつぐんだ。
「まあ、彼女がそういうなら。なんせ、うちの事務所のアイドルだ。粗相のないようにしてくれたまえよ」
ジェームスは咳払いをひとつすると、ネクタイをなおす。
「明日、収録がある。新作ドラマの収録だ。そのロケに一日付き合ってもらって、それから彼女の家で警護にあたってもらう。時間は先ほど言ったとおり、午前9時、ここに来ていただきたい。何かあったら、端末の連絡番号はナスカル氏に知らせてあるから、連絡をしてくれ。それでは、私たちはこれで失礼するよ。行くよ、アメリア」
ジェームスが唐突に立ち上がり、ポケットに携帯端末を突っ込んだ。アメリアもそれに続いて立ち上がり、ドアへ向かう。一瞬、アメリアの目が何かを訴えるようにティナを見たが、あきらめたようにジェームスの後に続いた。
「なんだよな、もう。セルジオさんにしろ、あの人にしろ。俺、そんなにお荷物かなあ…」
2人が階段を下りたであろう音が聞こえたあと、ジョンはつまらなそうに愚痴をこぼした。
「ま、今のままじゃお荷物かもね。もう少し役に立てるようにがんばること。学校が始まって、普通の生活に戻ったら、いつもあたしのそばにいるわけにもいかないだろ?」
ティナは立ち上がり、事務所のドアを開ける。
「いようと思えばできるけど…」
「どうして?」
「実は、さ。もう中等学校までは卒業できるだけ、飛べるんだ。その気になれば、高等学校の生徒にだってなれる」
「え?」
いきなりの言葉に、ティナはぽかんと口をあけた。
「要するに、どういえばいいかな。卒業できるってこと。ほら、今って、小学校で必要なこと、みんな習っちゃうでしょう?中等学校からは任意なわけじゃん。それで飛び級できるじゃない。俺、もう高等学校入れるくらいは、大丈夫なんだ」
ポケットから出したガムを噛みながら、ジョンは何でもないことのように続ける。階段を下りるにつれて、熱気が引いて冷気が体を包む。
「はあ…見た目からは想像できないね。そうか、最初にあったときに、生意気なやつだって思ったけど、生意気言えるほどには頭がよかったんだ」
ティナは感心しきって息をついた。目の前にいる普通の少年が、そんな頭脳を持っているとは、到底彼女には思えない。銃射撃や格闘、爆弾解体を教えていたが、それほど飲み込みが良いとも思わなかった。
「イレギュラーなんだってさ。先生が言うには。150人に一人は出るって話。自分で頭がいいとか思ったこと、ないんだけどね」
「ふうん…」
ジョンの淡々とした口調の中に、どこか悲しさのようなものが混ざったのを、ティナは見逃さなかった。
「おう、さっき2人が出ていったぜ。話は終わったのか。どうだった?」
セルジオは降りてきた2人の顔を見て声をかける。
「交渉成立。明日9時、ここに迎えにくるってさ」
「おう、わかった。それと、こいつはジョン、お前さんに餞別だ」
カウンターの上に小さな木箱を置くセルジオ。木箱には黒色のインクで、火薬を扱う精密機械、と警告文句が書かれている。
「俺に?」
ジョンは木箱を開き、中を覗いた。中には小型のリボルバー銃が入っていた。黒く表面がコーティングされている銃は、とても小さい。大きさから見て、弾は4発入れば良い方だろう。手のひらに隠せるほどの大きさだ。替えのシリンダーと弾の入った箱も一緒に詰め込まれている。
「22マグナムの傑作、R40、通称スケリーマンだ。ひょんなことで手に入れてな。予備銃にもっとけよ」
ジョンはしばらく手の中で銃をもてあそんでいたが、銃を収めると木箱の蓋を閉じた。
「型番が40なのに40口径じゃないんだね?」
「メーカー40番目の銃って意味らしい。こいつはオプションだ」
セルジオが、別の小さな箱を出した。木箱の中に、リボルバー用のクリーナーキットが入っている。
「もらっちゃっていいの?なんだか高そうな銃だけど…」
「ああ、もちろん。あと、ちょっと、いいか?」
セルジオは手を伸ばし、ジョンの背中をまさぐる。彼の着ているTシャツをめくると、そこにはオートマチックのハンドガンが差されていた。日本の正山インダストリーという会社が作ったピストル、名は飛燕という。ジョンはこれをティナに買い与えられていてから、いつも携帯していた。
「こうは持つな。尻を吹っ飛ばす恐れもあるし、落としやすい。せめてホルスターに入れるべきなんだが、ここにホルスターをつけて銃を持つと、武器を持ってると見つかりやすいんだよな。ティナを見てみな」
セルジオに言われてジョンはティナをふりかえる。ティナはジャケットを持ち上げ、脇の下にあるホルスターを見せた。ジョンの持っていた飛燕に比べると、少し大きく見える。
「脇に挟むと比較的見つかりにくい。上になにか着て、いざというときには抜けるように訓練しておくべきだ。予備銃はスカートの中なんかに隠すんだが、お前さんならポケットでいいだろう。2挺携帯しとくと、安全性が増すぞ」
「うん、ありがとう」
ジョンはセルジオから銃の入った箱を受け取る。
「じゃあ、あたしらは帰って準備をするよ」
「おう、しっかりやれよ。あとジョン、ガムばっか噛んで、虫歯作るなよ?」
店から出るティナとジョンの背中に、セルジオは親指を立てた。
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