2020年、地球は飽和していた。技術向上に、進歩に、飽和していた。人口は増え続け、世界はダメになる一方だった。
そんな折り、彼らは現れた。彼らは地球の人間に言ったのだ。我々の仲間に入らないかと。
そして2045年。地球は変わる。
おーばー・ざ・ぺがさす
第四話「眠れない夜 IN ゴールデンウィーク」
「王様ゲーム」という有名なゲームがある。このゲームは、パーティーや合同コンパの席でははずせないゲームとして名が高い。数通りの方法があるが、この場では一般的な方法を記述しよう。
このゲームは、数人の参加者が必要なゲームである。まず、何かしらの方法、例えばクジなどで、「王様」の地位にあたる人物を決める。次に、これも何かしらの方法で、「家来」を決める。家来はそれぞれ番号を持っているが、王様はその番号を前もって知ることが出来ない。王様は家来の番号を指定し、一つだけ命令をする。例えば、10番と5番が握手をする、といった具合に、命令を下す。指定された10番と5番の家来は言うことを聞かなくてはいけない。このローテーションを何度も回すことで、ゲームは進んでいく。
家来は王様の命令に服従しなければならない。だが、あまりにも常識外れな、ゲームとして成立しないような命令は、拒否する事が出来る。例えば、家に帰れだとか、誰かに危害を加えろだとか、そういった命令である。極端に時間がかかる命令も拒否の対象に入るし、そもそもそう言った命令はゲームの進行を滞らせる物となる。
ここ、日本、首都東京都、錦原家アパート、居間で行われているのは、この一般的なやり方に沿わない王様ゲームだった。テーブルの周りに、6人の男女が座っている。このうち、5人は高校1年生の少年少女だ。男は人間少年の竜馬と、これもまた人間少年の修平。女は獣人少女のアリサ、同じく獣人少女の真優美、人間少女の美華子に、一番年長の大学2年生で、竜馬の姉の人間女性、清香がいる。
ルールは単純である。どんなに眠くなっても「寝てはいけない」。最後まで起きていた者が「王様」となる。そして、次の一日の間、好きな人物を、常識の範囲内で使途できる。
ゴールデンウィークのまっただ中、世間が移動で忙しいこの時期に、暇を持て余して集まった彼らが、このゲームを思いつくのに、それほど時間はいらなかった。このゲームを思いついたのは、今から1時間程度前のことだった。
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