―――――八―――――
〜結局は大円団ってことで〜

 キッ
「ふはぁぁ、やっと着いた」
 バイクのブレーキを引き、エンジンを切る直樹。夕方になり、直樹と美玉、そして積雷は、ようやく土曜屋についた。
 直樹の言っていた、近いガソリンスタンドというのは、山道の途中にあった。下り坂だし、バイクを押すのにそれほど力は必要なかったので、なんとかそこまでは簡単にたどり着くことが出来た。しかし、そのガソリンスタンドは既に営業を停止しており、ガソリンなど一滴も残っていなかった。
 そこからまた、直樹と美玉の二人は代わる代わるバイクを押し、山の麓まで降りた。直樹のバイクは、自動車のように一トンという重さなどないが、それでも重いことに変わりはない。下り坂が終わってしまい、押すこともこれ以上は無理だと判断した彼は、近くを誰かが通ることに賭けた。ガソリンを入れられる容器があるなら、身一つでガソリンスタンドまで歩いて購入したが、手元にある容器はペットボトルくらいしかなかった。誰かが通ったら、ガソリンを分けてもらおうと思ったのだ。
 それから、五台の車が直樹達をスルーして、六台目にしてやっとガソリンを少しわけてもらうという交渉が成立した。そして、分けてもらったガソリンを使い、やっとのことでガソリンスタンドまで到着。手持ちの金を使ってガソリンを補充し、そこから土曜屋に戻ってきたという流れだ。正直、こんなに疲れることは、もうしたくはない。
「はー、疲れた。おーい、着いたぞ」
 美玉の置いた鞄の中に声をかける直樹。積雷は、イタチの姿のまま、中でぐったりしていた。
「大丈夫?」
 美玉が積雷を抱き上げる。
「み、水……水ないか……」
「喉が乾いたのね。ほら、これ」
 飲みかけのお茶のペットボトルを渡す美玉。積雷は前足を器用に使い、ペットボトルの蓋を開けると、ペットボトルを抱くようにお茶を飲み始めた。
「はぁぁー、生き返った。ったく、おめぇら、あたしがいくら呼んでも応えないんだからよ」
「しょうがない。エンジン音が大きかったんだ」
 バイクを停車して、直樹がヘルメットを戻す。ここにあったのは、美玉とショッピングモールに行ったときに使った、美玉のヘルメット一つだけだ。もう一つは、美玉が追跡してきた式神を追いやるときに投げたせいで、持っていっていなかった。ノーヘルメット搭乗は、自転車以外の二輪車では違法である。道路交通法違反で捕まるかもと思った直樹は、積雷がつけてきた帽子を美玉に被せて、ヘルメットに偽装した。検挙されたらどうしよう……などと考えていた直樹だったが、運良く警察車両とすれ違うこともなく、なんとかここまで帰ってくることが出来た。
「そうだ、この辺りに……」
 この辺りに、出るときに投げたヘルメットが落ちているはずだ。直樹は、側溝に自分のヘルメットが落ちているのを見つけて、泥を払ってバイクにぶら下げた。
「無くなってなくてよかった……」
 直樹が心からほっとした声を出す。直樹の今使っているヘルメットは、それなりに有名なメーカーの物だ。ヘルメットと言えど、良いメーカーの品ならば、万単位の金が飛ぶ。長い間使う、自分の身を守る品だからと、買うときに奮発したのだ。フリーターになり、貧乏性がすっかり身に付いた今は、なぜこんな高いヘルメットを買ったのか、自分で理解出来ない。
「あ……」
 美玉が店の方を見ている。何事かと美玉の視線を追う直樹。そこには、旅行鞄をぶら下げた吉田と、黒く焦げてしまった暖簾、燃え尽きないまでも火事があったということが容易にわかる柱、そして真っ黒に焦げている玄関の引き戸があった。どうやら吉田は、今土曜屋に着いたらしい。店の前から、吉田を乗せていたであろうタクシーが、駅方面へ走り去っていく。
「俺の……俺の、店に、何が、起きたって、言うんだ……」
 吉田がぽつりと呟く。かなりのショックを受けている様子だ。その、魂の抜けきった様子の吉田には、声をかけることすらためらわれる。
「あの、吉田さん……」
 思い切って、後ろから声をかける直樹。と……。
 がっ!
「ふがっ!」
 直樹の襟を、吉田が掴んだ。
「どうしたっていうんだ! 火事か! 放火か! なんでこんな無惨なことになってんだよ!」
「お、落ち着いて! やめ、やめ……」
「落ち着いていられるかぁ! 店ですよ、店! 俺の店ですよ!」
「冷静になれよ! 頼むから離して、いて、いてぇ!」
「俺が何したってんだよぉ! くそがぁぁぁ! 犯人見つけてぶっ殺してやる! あぁ、もう収まりがつかん! ぶっとばしてやる!」
 がくがくがくがく!
「ちょ、やめ……」
 ずる
「あ」
 吉田を止めようとした美玉の手から、積雷がペットボトルごと落ちた。
「あだっ」
 地面にぶつかった積雷は、小さく声を出し、起きあがった。その姿を見逃す吉田ではない。
「そのイタチは?」
 吉田がしゃがみ込み、積雷に顔を近づける。積雷が、危険な生物と相対した野生動物のように、動きを止めた。積雷が知っているのは、厨房で麺を茹でていた吉田だけだ。今の吉田の怒りぶりを見て、震えが来たのだろう。なにせ、吉田の店を燃やしたのは、他でもない彼女なのだから。このままでは、積雷はスープの出汁にでもされてしまう。
「きゅ……きゅうううん」
 何を考えたのか積雷は、自分が動物に過ぎないことをアピールし始めた。吉田の足に頬をすりつけ、まるで猫のように懐いてみせる。
「……」
 吉田は何も言わない。直樹の背中を、冷たいものが駆け下りる。今の吉田は、かなり怒っている。このまま、積雷を踏みつぶすのではないかと、不安になったのだ。が、しかし……。
「……なんだ、もう。かわいいなあ。見たことない種類のイタチだね。白沢さんが連れてきたのかい?」
 吉田は予想に反して、目尻を下げてみせた。先ほどまで怒っていたことも忘れ、足下にいる積雷を、ひょいと抱き上げる。
「動物って癒されるねえ。いやー、なんか焦ってた気持ちが、すっかり収まっちゃったよ。この柱と暖簾のことは、明日にでも警察に行って来て、調査してもらおう。戸の修理も明日電話しないとね」
 がらりと店の戸を開ける吉田。幸いにも、戸は焦げはしたが、形を失うことはなかった。はめ込んである磨りガラスも、少し溶けてはいるように見えるが、使用に影響はない。
「ふぅー。気を落ち着けないとね。お茶でも淹れようか。ほら、蕎麦茶を買って来たんだよ」
 吉田が厨房のコンロにやかんをかけた。促されるままに、直樹と美玉が店に入る。
「きゅううん、きゅううん」
 積雷は、まだ怯えてはいるようだが、動物に徹することにしたらしい。甘い声で吉田に甘えている。これもたぶん演技なのだろう。吉田が足下に積雷を降ろすと、彼女はまっすぐに美玉のところへ来た。
「あれ。急須がない。ちょっと取ってくるよ」
 倉庫の方へ行く吉田。鍵をかちゃかちゃと開ける音がする。
「おい、どうすんだよ、あたしは。お前がここに連れてきたんだろ? まさか、あたしのせいだってばらす気か?」
 美玉に文句を言う積雷。ここから倉庫まで、普通に話していたら声が届いてしまうので、小声だ。
「私があんたに恨みを持っているのは確かよ。それ以上のコメントは控えさせてもらうわ」
 美玉はとても楽しそうだ。人の運命を自分の手の上で転がしているという自覚故だろうか。それとも、自分を捕まえようとした女が困っているのを見るのが面白いのだろうか。その両方だろうと、直樹は考えた。
「そ、そりゃ、あたしだって金があれば、弁償したい。でも、金が入る予定も狂ったし……」
 言い訳をする積雷。イタチの尻尾がぺたんぺたんと動く。
「安直なのよね。あんた、私を必ず捕まえられるっていう自信に満ちあふれてたみたいじゃない。でもおあいにく様、そうは問屋が卸さないわ」
「今更そんなことはもう言わねぇよ。あんな話を聞いたんだ。あたしは正しいと思うことをやるだけだ。お前を捕まえるのは、あたしの正義に反する」
「正義、ねえ。まあ、あんたも騙された一人だってことで、被害者なのかもね」
 積雷を膝の上に抱き上げ、美玉が虚空を見つめる。
「それにしてもやべぇな。あたしが実は妖怪で、この店の玄関を燃やした犯人だなんて知られたら、どうなることか……ん? どうした、直樹」
 積雷が直樹の方を向いた。直樹は、その積雷の後ろ、美玉の背中越しに向こう側を見ている。そう、積雷にとって不幸だったのは、美玉が倉庫の入り口を背に座ったこと。そして、うっかり通常時の声量で、言葉を喋ってしまったことだった。
「ほほぉーう。話は聞かせてもらったぞ」
 びくぅっ!
 吉田の猫なで声に、積雷が毛をぶわっと膨らませた。吉田の目は、液体窒素で凍らせたかのように冷たく、積雷のことを見下ろしていた。
「常田君、白沢さん、二人ともこのイタチ君とグルかい。よぉーくわかった。どうやら俺は、二人とも解雇せざるを得ないようだ……」
 凍り付く視線が、直樹と美玉を交互に睨め回した。直樹と美玉は、顔を見合わせた。解雇されたくない、されるわけにはいかない。
「ちっ、違うんです! このイタチ女が、私の命を狙ってきたんです! だから逃げただけなの! 決して、隠蔽しようとしたわけじゃ!」
「このイタチ、積雷って名前で、本当は女の子のかっこで、電気出すんだ! 美玉さんも、本当は猫沢って言って、妖怪で!」
 二人は、ほぼ同時に物をしゃべりだした。吉田は聖徳太子ではない。が、二人の話を同時に聞けるくらいの能力は持っている。
「猫沢……白沢さんの本名で、妖怪なんだね。で、イタチ……女?」
 二人ががなりたてるたびに、吉田がどんどん知識を積み重ねていく。
「あー! てめぇら! あ、あたしを売る気だなぁ……わああ!」
 二人を罵ろうとした積雷を、吉田が掴みあげた。
「ゆっ、許してくれぇ! 不幸な事故だったんだ! 今のあたしは、ただのなんの力も持たない四足獣だぞ! あたしを殺して、心が痛まないのかー!」
「今のあたしは?」
 パニックを起こし、言い訳を続ける積雷の言葉に、吉田が耳を動かす。
「ということはだ。君は普段は、別の姿なのかね。魔法とか使うのかね。直樹君の言う通り、女の子なのかね。詳しく聞きたいねえ」
「なっ、名前は積雷! じゅうはちで雷獣やってます! 今年の春に、高校卒業しました! お、お願いだから、見逃してー!」
 吉田の手の中で、積雷ががたがた震える。彼女が十八歳だと聞いて、直樹はびっくりした。通常、妖怪と言えば、人間より年を食っているのが常識だと思っていたが、積雷は自分より若かったのだ。なんだ、ビールなんか飲んじゃいけないじゃないかと、直樹が心の中で怒った。ビールの恨みは重いのだ。
「十八歳ねぇ。君、原付の免許とか持ってる?」
「はっ、はい! 原付と電気妖術士の準二級持ってます! でっ、でも、漢字検定準二級は落ちましたぁ!」
 聞かれるままに、積雷が自分の資格をしゃべる。直樹はちらりと美玉を見た。美玉は事の成り行きにあまり興味を持っていない様子で、吉田が持って来た急須に蕎麦茶を適量入れ、沸き立ったお湯を注いだ。
「へぇ、そいつは……」
 吉田の顔がにやにやとゆがんだ。これはだめだ、と直樹が思った瞬間、積雷が口から泡を吹いて気絶をした。


「はい、お電話ありがとうございます、土曜屋です。あ、はい。飯塚さんですね。いつもありがとうございます。え、あ、はい。出前ですね?」
 土曜屋の店内。かかってきた電話を取った直樹は、伝票を取った。昼時で、カウンターも座敷もテーブルも、多くの客が座っている。
「はい。中華丼とチャーシューメンですね。かしこまりました。はい、では三十分ほどお待ちください、料金は千二百円です、用意してお待ちください。はい、はい、それでは失礼しまーす」
 がちゃ
 直樹が電話を置く。伝票をくるりと吉田に回し、直樹は新しく来た客に水を運んだ。
「ご注文お決まりになりましたら、お呼びください」
 挨拶をして、直樹が厨房に引っ込む。厨房の、ラーメンのスペースでは吉田が、調理用コンロのスペースでは美玉がフライパンを暖め始めた。
「ほい、これ上がり。持ってってくれ」
 吉田が、ラーメンを二つ、丼に入れて出した。手際よく、直樹が上にラップをかける。こぼれないように、何重にもラップをかけられたそれは、おか持ちに入れられた。
「よいしょ、と」
 おか持ちを持ち、外に出る直樹。店の横の、駐車スペースまで急ぐ。
「はい、積雷。仕事。これ、豊田さんところね」
 外でぜいぜい言って、ペットボトルの飲料を飲んでいた積雷に、直樹がおか持ちを渡した。
「またかよ……全然休んだ気がしねぇ」
 原付の背に、積雷がおか持ちを固定する。この原付は、ジャイロセンサーと加速度センサーを利用しておか持ちを水平に運ぶことが出来るという、画期的な一品だ。この店に「出前システム」を作ると同時に、吉田がどこからともなく、おか持ちと一緒に仕入れてきた。相変わらず、彼の行動力には舌を巻く。
 積雷は特にひどい目に遭うこともなかった。雑巾のように絞られることも、背中にロウソクを乗せて火をつけられることも、スープ鍋でことこと煮られることもなかった。歩道橋もトラックも関係ない。強いて言うならば、今の労働が「ひどい目」ではあるかも知れない。
 彼女は、壊れた玄関の修理費の分だけ、働くことになってしまったのだ。彼女に与えられた仕事は「雑用&出前担当」というものだ。何もないときは雑用、出前が入ったときには原付を出す。休み時間はあまりない。店の修理費がいくらかかったかは、直樹の耳には届いていないが、かなりの額ではあるらしい。
『これでも譲歩した方だと思ってほしいねえ』
 にやにや顔に怒りを隠した吉田の言葉だ。積雷は仕方なく、ここで働くことになり、急遽家具を仕入れてアパートの部屋を借りた。吉田の家に部屋を借りるという手もあったが、積雷にとって吉田は「怖い人」だ。一つ屋根の下に住みたくはないらしい。
 普通のラーメン屋の出前も、面倒くさいものではあるだろうが、土曜屋のそれよりはまだマシなはずだ。この土曜屋には、定常的に妖怪や人外の類が来ている。彼らは、通常の家に住んでいる者ばかりではないわけで、よくわからないところに居を構える妖怪もいる。そうなると、積雷はどこかの軒下に出来た謎の巣や、裏山の中に経つ謎の小屋や、なぜか地下に作られた立派なお部屋に、ラーメンを運ぶ羽目になるのだ。もちろんそんな場所に住所などないから、ラーメンを届けるだけでも一苦労になる。
「これ終わったら、飯塚さん夫妻んところに、中華丼とチャーシューメンね」
「おい! まだあんのかよ! もう少し休ませろよ!」
 ハーフキャップのヘルメットを被った積雷が、ゴーグルを付け、あからさまに不機嫌な声を出す。
「うっさいな、これが働くってことだろ。終わったら、吉田さんが昼飯作ってくれるから、それ目当てにがんばれよ。今日は昨日のワンタンが少し残ってるから、ワンタンメンだってさ」
 ぴくり
 積雷の耳が、昼飯という単語に反応した。人耳ではない、ヘルメットの下にある獣耳の方だ。
「し、しょうがねぇな。ここの飯はうまいし、働いて返すことになっちまったし……よっし、じゃあやるか!」
 キックでエンジンをかける積雷。アクセルをふかし、積雷がその場から遠ざかっていく。彼女は、吉田曰く「猫沢さんや常田君よりは能力こそ低いが、素直な良い子」だということらしい。時給は、具体的には聞いていないが、美玉や直樹よりかなり低いという話だ。まさに彼女は、薄給でこき使われる立場になってしまったのだ。
「ああ、労働奴隷が去っていく……」
 ぽつりと直樹が呟いた。積雷という妖怪少女に対して、直樹はこの言葉がひどく似合うと感じた。今の境遇を見れば、皆そう思うかも知れない。
「ふぅー」
 店の中に入り、倉庫に入る直樹。もうネギが残り少ない。冷蔵庫からネギを出して、刻んでおかなくてはならないだろう。その直樹の後に、すっと倉庫に入る影がある。美玉だ。美玉は、するんと猫のような歩き方をしながら、直樹に近寄った。
「吉田さんにも、私が妖怪だって事、知られちゃったね。追われてるってことも」
 申し訳なさそうに、美玉が笑う。直樹は何も言わず、頷いた。
「きっとこれからも、危ないことはたくさんあると思う。吉田さんは、私をかくまってくれると言ったわ。でも、直樹君はいいの? ほんとは怖くて逃げ出したくならない?」
 手を伸ばし、美玉が直樹の頬を、そっと撫でる。美玉の瞳を見つめる直樹。目だけ、猫になっている。いつもはまん丸な人目なのに、今の美玉の瞳は縦になった弓張り月だ。人によっては、この目を不気味だというかも知れない。だが、直樹は……。
「最初帰ってこいって言ったのは俺だよ。それぐらい、覚悟の上さ。俺だって、ヒーローにあこがれる、男の子だったんだぜ」
 ぽん
 直樹が美玉の頭に手を乗せる。そして、本物の猫に行うような、軽い撫で方をした。
「ふふ。ありがと。そう言ってもらうのは、嬉しいわ」
 きゅっ
 軽く丸めた両手で、美玉は直樹の顔を挟み、にっこり笑った。ふわっと漂う美玉の匂い。これから何が起きるのか、どうなるのか。直樹はおろか、他の誰も知りはしない。だが、直樹は逃げ出すつもりはない。例え、何があっても。
「おーい、ネギまだー?」
 店側から、吉田がひょいと顔を出した。
「はーい、今持ってくわ」
 手を離し、美玉がくるりと回る。冷蔵庫から出したネギを片手に、美玉が倉庫から出て、まな板の前に立った。
「君ら、仲いいね。なんかあったの?」
 呆れのような、苦笑のような表情で、吉田が直樹に聞いた。
「いーや、何も?」
 直樹も倉庫から外に出た。布巾を洗い、テーブルを拭く。吉田は、腑に落ちないといった表情だ。でも、それでいいのだ。
「さあて、お仕事お仕事」
 美玉が鼻歌を歌いながら、ネギを刻んでいる。ふと、美玉の腰に目をやると、そこで猫の尻尾が踊っているような気がした。


(おしまい)


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