昔、ある友人に「君はなぜケモノ系の話ばかり書いているのか」と質問されたことがあります。この質問の答えは単純で「好きだから」です。ただ、好きは好きでも、他の好きなものとケモノでは決定的に違うところがあります。それは「商業でケモノキャラの絶対数が少ない」ということです。
 ちょっと思い返してください。今から5年、10年も前になると、ケモノはおろかネコ耳キャラさえ少なかった気がします。もちろん、子供向け番組などにはケモノキャラや動物キャラはいましたが、どちらかといえばアメリカのトーキングアニマルの基本を持ち込んだもので、かわいいというより面白い、萌えるというより笑えるというものばかりだった気がします。もちろん、その時代のケモノキャラにも萌えていた諸氏はおられるでしょうが、ナイスバディーのケモノ姉さんやグラマラスなケモノ娘って、案外少なかったと思うんです。
 それで、ケモノ系に開眼したとき、自分も作る側に回ろうと思いました。少ないものなら増やせばいい。ないなら作ればいい。有名な言葉に「暗いと不平を言うよりも、進んで明かりをつけましょう」という言葉がありますが、まさにその通り。ケモノ系に関しては暗い世界に、もふもふ病を流行らせて、ケモノ好きファンを増やしてやろうと。いや、冗談ですけど、動機などはこんなものです。そして今、このウェブサイトに乗っている小説の大多数は、ケモノが関係しています。
 ただ、やはりというかなんというか、自分は商業で連載している方や同人誌を出している方のように、高いスキルを持っているわけではありません。私がつけている明かりはろうそくやたき火のようなもので、あまり質がよろしくない。商業でケモノキャラが大量に出てくれれば、サーチライトや電灯のような、強力な明かりになるんだろうなあ。

 ケモノ、非ケモノ関係なく、小説を書いていてよく感じるのは、自分の文章力の無さや構成力の無さです。私は小説を書くとき、書きたいシーンがあったり、書きたいキャラがいたり、書きたいジャンルがあったりするからペンを取ります。なので、書き出すときはその場のノリでして、ほぼ行き当たりばったりに小説を書いています。後は、キャラが自分の中で「こう動くの〜」と言い出すので、それをトレースするように小説を書く。
 この点では、妄想力や想像力に任せていればいいんですが、それを上手くまとめて一つのお話にしようとするとき、構成力がなかったり文章力がなかったりすると、つらいものがあります。
 もし「お話」だけを作ろうと思ったら、まずは想像力を高めることをお勧めします。ですが、それを発展させて「小説」を作ろうと思ったら、最低限の文章力や構成力をつけることが必要でしょう。漫画にするのなら画力、ゲームにするならプログラム技術が必要なように。
 小説は様々なアプローチで書ける、わりかし自由な媒体だと思います。キャラの会話と擬音だけ、という作品を見たりもしますし。でも、文章力はあって損することはないでしょう。技術はある種、武器に近い部分がありますから、ランクの高いものを作ろうとしたら、必然的に高い技術が必要になります。
 場合によっては、自分で試行錯誤することも必要になるでしょうね。この間アップした、おーばー・ざ・ぺがさす4話は少し実験した作品で、各キャラの思っていることを、そのキャラの視点から書くようにしています。分けてある部分ごとに、誰かの視点で物事が進んでいます。これからも、普通のテンポじゃなくて、おかしなテンポで進む小説がアップされると思いますが、それは試行錯誤の跡です。がんばらないと。
 こうしてぐだぐだ悩んで、最後には皆様にケモノというジャンルを知らしめるような、面白い小説をかけたらなあと。そう思います。

 (記載日:2007/6/3)

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