小さいころわからなかったことが、大人になるとわかるようになる。何を意味しているかわからなかったことが、後になってわかる。そんな経験を持つ方はいますでしょうか。私はそういうことがよくありまして。今になって昔きいた曲を聞いたりCDを出してみると、その音や歌詞に込められた意味がわかったりするんです。今回は音楽に関連して少し書き出してみましょうか。

 例えばユーミン。彼女の歌の中に 「ツバメのように」というものがあります。アルバム「OLIVE」の中の曲で、今まで結構好きな曲だったんですが、歌詞の意味がよくわからないでいました。今になって聞いてみると、これはどうやら自殺をモチーフにしたような歌のようなんです。歌詞に「束の間、彼女はツバメになった」や、「彼女は年を取らず」、「ビルの上からは」など。飛び降り自殺のような少々不吉な歌です。曲調自体は、ユーミンの中では普通の曲なので、そんな暗い歌だとは気づきませんでした。ただ、彼女はだいぶ暗い歌(それこそヤンデレみたいな歌まで)を歌っているので、別におかしいこともないのでしょう。
 気づけば気づいたで、なるほどと思ってしまいます。

 例えばサザンオールスターズ。歌の中に、「唐人物語〜ラシャメンの歌〜」というものがあります。サザンオールスターズにしてはゆったりとした、そしてどこか物寂しげな歌だったんですが、何かの物語のような歌詞の運びをしていました。最近、偶然インターネット上でこの歌の情報を見たんですが、どうやらモチーフになった人物がいたようです。その名は唐人お吉。土食って巨泉に乗ることで有名なアメリカ大使、ハリスの身の回りの世話をさせられた女性だそうで、最後には外国人と交わったと避難され、自殺してしまうそうです。曲自体はとても哀愁漂う、うっとりするようなものに出来上がっており、今でもカラオケに行けば歌う歌です。
 気づけば気づいたで、なるほどと思ってしまいます。

 例えば戦場のメリークリスマス。これはYMOで有名な坂本龍一氏作曲の曲です。よくテレビなどでも音源として使われていますし、どこか和をイメージさせる透明な曲調が特徴です。お読みの方の中には、名前を聞いてわからないでも、聞けば「ああ、これか」と言われる方も少なくないと思います。曲の名前を知ったのは、偶然見た同名の映画ででした。映画の方は、第二次世界大戦中の捕虜収容所の話です。日本兵、捕虜のイギリス人、そして特色ある登場人物。どこかもの悲しげなそれは、戦争を通じて、人間関係を残酷に、そして秀麗に描いています。ずいぶんと旧い映画で、好きか嫌いかと言われると、好みではないのですが、その作り込みには痛く感動しました。
 気づけば気づいたで、なるほどと思ってしまいます。

 例えばサザエさん。随分昔のサザエさんでは「窓を開けましょう〜」などという歌詞のエンディングテーマが使われていたのを覚えています。この歌を歌っていた人が誰だか、最近になるまで知らなかったんですが、ひょんなところで堀江美都子という人だということがわかりました。聞いたことあるな、と検索をかけてみれば、キャンディキャンディやひみつのアッコちゃんなどの主題歌を歌っている方だということが判明。ああ、なるほど、道理で聞いたことがあるわけだと。一般の人にとっては常識なことでも、知る機会がなければただのノイズ。これをひょんなことで知ると、少し心が豊かになった気がしますね。
 ほんま、気づけば気づいたで、なるほどと思ってしまいます。

 (記載日:2008/4/30)


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