春がやってきましたね。皆様はいかがお過ごしでしょうか。私は軽度の花粉症らしく、鼻水こそ出ないものの喉がかゆくなったり痛くなったりするような症状を繰り返しております。今回はそんな花粉症とはまったく関係のない、節分の話でもしようと思います。季節感とか時期とかそんなチャチなもんじゃ断じてありません。もっとも恐ろしい季節ボケの片鱗を味わってください。

 節分は、皆様も御存知でしょうが、2月の行事です。大豆をまいて、1年の無病息災を祈る祭であります。このとき食べる巻き寿司「恵方巻」は、「福を巻く」ということで巻き寿司、「縁を切らない」ということで包丁を入れずに食べるものです。ここまでは、常識の範囲内です。
 なぜ豆を投げるか。これは要するに、豆を鬼にぶつけて追い払うという話から来てるんですね。幼少時代、テレビで流れていた「まんが日本昔話」で、この「豆を投げて鬼を追い払う話」を見た覚えがあります。あらすじは、夜になって空き屋に泊まった男が、夜中に入ってきた鬼に怯えてしまい、武器を探したところ手元に豆があったそうです。それを鬼に投げつけると、鬼は「痛い痛い」と言いながら逃げ出した、という話だったと思います。詳細はちょっと思い出せません。you tubeかどこかにあればいいのでしょうが、タイトルを失念しているもので、探しようがないんですよね。
 さて、果たして大豆程度で鬼を追い払えるものでしょうか。豆なんて、小さくてパラパラしていて、あまり攻撃にもならないような気もします。大豆といえば、醤油や豆腐の材料になり、タンパク質が豊富で、小豆と大して大きさが変わらないのに大小と分けられる豆であります。しかし、武器としてはそれほど有用なものとも思えません。ここで私は仮説を立てました。

 1/男の気迫がなんかこう凄かった
 2/偶然、そこにいた鬼が豆嫌いだった
 3/男の肩がバカに強かった

 1の場合は、簡単ですよね。男が、それこそ「鬼のような」形相で、豆を掴んでは投げ掴んでは投げ。「そぉい!そぉい!貴様らみんな鬼じゃ!人間じゃねえ!」と、セガタ三四郎のような勢いで襲いかかれば、どんなやつだって逃げます。少なくとも私は逃げます。まさに鬼気迫るものがあったのでしょう。
 2の場合は、鬼の好き嫌いに救われた形になりますよね。考えてみましょう。美人の女鬼の、適当な名前…例えば、慮蘭華(りょらんか)さんは、大豆が嫌いな女の子です。好きなものは金棒、嫌いな物は豆腐です。彼女がある空き屋に入って夜を過ごそうとしたところ、いきなり物陰から人間の男が現れ、嫌いな大豆を投げ始めました。これには慮蘭華さんもたまげて「やめてください!やめて!うわぁぁぁん!」と泣きながら逃げ出してしまいました。なんてのも、いいですよね。よくない?そうですか。
 3は、現実的な線でしょう。某戦争では、野球選手が手榴弾を投げる兵士として戦ったという話も聞きますし、男が武士か何かならば腕力も強いはずです。振り抜ける腕。飛び散る大豆。1発1発、まるで銃弾のように鬼に襲いかかる。当たったそばから「ポリャンパァ!」とか「プァプァ!」などという、よくわからない擬音が鳴りだすでしょう。そりゃ鬼だって逃げ出しますよ。剣呑剣呑。

 結局のところ、真実は闇の中です。闇を漁るような、力のいる作業を私はするつもりはないです。ところで、今回は予期せずして慮蘭華さんなどというキャラが産まれてしまいました。本筋とは大きく離れますが、誰か大豆が嫌いで金棒が好きという、美人な女鬼、慮蘭華さんが活躍するような話を書いてください。ええ。

 (記載日:2008/3/29)


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