私は小説を書いて自分のサイトにアップするということをしているわけですが、自分の作品群を見ていると、行き当たりばったりな展開が多く感じます。というのも、キャラが動くに任せているからで、勢いアドリブが多くなるからです。そこで困るのが、彼らや彼女らが動き回るとき、私がせっかく作ってある無駄な設定を使うことが出来ないということです。意図して使おうとしない限り、自分が作り出した世界が色濃く出ることがない。これはとても問題だと思います。
 自分だけの世界を強烈に持ち、それを外に向けて強烈に発信できる人を、私はとても尊敬します。例えば絵師の方など見ていると、この描き方はこの人にしか出来ないっ!と言った人が多いです。好んでそう言った方のサイトばかりブックマークしているのかも知れませんが、絵柄と趣味がかっちりとはまっている方のサイトは見ていて感動します。かわいいキャラなのにグロテスク、といったギャップもいいのでしょうけれど、やはりその絵柄や作風にあったキャラの動き方をしているところを見るのはとても面白いです。私自身、絵が壊滅的に描けない人間なので、絵師の方は二重の意味で尊敬してしまいます。
 自分だけの世界を持っているのは、何も絵師に限ったことではありません。私がとても好きなバンドにZAZEN BOYSというバンドがあります。祭囃子×ロックミュージックと言った感じのバンドで、ギター弾いてる向井秀徳という人の声が聞いていてとても気持ちいい。某所で見た「向井秀徳は琵琶法師の生まれ変わり」という表現が痛く気に入っております。音楽に関しては雑食でそれなりに聞いてきたつもりではありますが、ZAZEN BOYSほど世界観にはまりこんだバンドは過去に類を見ない気がします。
 世界を作り上げた上で、それを全てユーザーに伝えることが容易な媒体は、ゲームだと思います。映画や小説、漫画などの創作物と決定的に違う点が一つ。それは「ゲームは主人公(プレイヤー)が能動的に動くことの出来る媒体である」ということです。ある程度動作範囲が狭く設定されているゲームももちろんありますが、アクションRPGなどはとても自由に世界を走り回ることが出来ます。また、それが存在しなくても話が進むけれど、存在することによって世界を強くプッシュする、いわゆる「無駄」を多く作ることが出来るのも特徴です。アニメや漫画などでも、街のシーンやサブストーリーなどでモブが話すことは出来ますが、ゲームの場合はモブすらも大きく特徴づけることが出来ます。もちろん、アニメや漫画をけなしたり軽く見たりしているわけではないのですが、やはり自由度という点ではゲーム(TRPGなどもそうかも)が大きいと思うのです。
 想像してみてください。例えば、ぼろぼろになった廃墟、倒れているビル、まだ消えない火、ひび割れたアスファルトなどが見える街で、片腕を失い転がっている男に主人公が話しかける。「ここで戦闘があった。もう1週間ほど前か。すまん、これ以上は聞かないでくれ、言いたくない」とでも言えば、その街と世界がうっすらぼんやりと見えてくると思います。もし絵が描けるようになったならば、全て自分でデザインしたゲームを1本作ってみたいですね。
 とりあえず、これを書きながら、これからの方針として「自分独自の世界観を少しずつでいいから押し出す」という方向で書くことにしました。アリサや竜馬が、それらしくなくなってしまわないように、努力していきたいと思います。

 (記載日:2007/12/11)


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