先日、所用で実家に帰り、自動車の長距離運転をしました。普段からドライブをしたりと、それなりに車に乗れるつもりだったので、それほどの準備もせずに出発。テレビのニュースを見て、雪が既に降っている地方があることは知っていましたが、自分の行く先はそうではないと思っていました。ところが、帰り道にちらちらと降り始め、山中を通る時には既に結構な量の雪が降っておりました。事故もせず帰って来ましたし、きれいな雪を見ることが出来たので、特にマイナスな面はないはずなんですが、心の底は不安でいっぱい。なぜだろうと探ってみれば、過去の事件が尾を引いていたからなんですね。
そのときも、同じ山の同じ道を通っておりました。山を登り始めるころはよかったんですが、中腹まで来たところで大雪に。アスファルトは白くなり、風が吹けば軽く地吹雪まで出る始末。それでもまだ道に圧雪などはありませんでしたし、積もっているわけではないのですいすいと行きました。そう、そこまでは。
途中、トンネルを通り、半分を超えたと思いきや、大量の雪が出迎えてくれました。いやひどい、降る量も積もっている量も半端ない。さらに怖いのは、道が軽く凍りついていたことです。そのときはスタッドレスを履いていたんですが、ハンドルは取られるわ、がたがた言うわ、怖かったわけです。
これはあかんと思った私は、その地帯を早く抜けようとアクセルを踏みました。数十分程度運転すれば豪雪地帯から抜けられることはわかっていたので。ところが、それがいけなかった。車は軽く持ち上がり、横滑りし始めました。「まずいっ!」と思ってブレーキを踏んだところ、ガリガリと音がしてブレーキが利かない。一瞬壊れたかと思いましたが、これがかの有名なアンチロックブレーキシステム(※1)だと理解。壊れていないと安心した、のもつかの間で、向かい側から大型バスがやってきました。左は雪壁(山肌)、右は対向車線と谷、そして私の車はアンチロックブレーキがかかり、軽く滑ってバスの方へ吸い込まれていきます。そう、それはまるでロシアのプロレスラーの投げ技にかかるアメリカ軍人のように。とっさにハンドルを山側に切ると、車の鼻が雪に突っ込み、停車。バスが過ぎ去った後、ゆっくりとバックをして、抜け出しました。
怖かった怖かったと言って、ガクブルしていたんですが、今度は暖房の効きがおかしい。第六感が「やばい、やばいぞ!」と告げ、それに導かれるままに道の駅で停車して点検をしました。フロントに回ってみれば、吹き込む雪と突っ込んだときの雪のせいで、ラジエーターを冷やす吸気口ががっちがちに凍り付いていまして。持ち合わせていたハンドワイパーでガリガリ割って、ようやく正常動作。その後はトラブルもなく、豪雪地帯を抜けることが出来、ようやく一安心ですよ、マジで。雪舐めたらあかん、と認識した1日でした。
そんなことが過去にあったせいか、雪中運転は死と隣り合わせだと体が覚えているらしいです。今回の平穏無事な雪中運転ですら、何者かがずっと「危ねぇ!危ねぇよ!」とワーニングランプを点灯させてました。今年もまた、暇がとれたら実家へ帰りたいと思っているのですが、あの雪は怖いよなあ…。皆様も、雪道を運転することがありましたならば、全身全霊を振り絞って死を回避することに努めてください。いちケモナーからのお願いです。
(※1アンチロックブレーキシステム:通常タイヤは回転状態で安定しているが、ブレーキでタイヤが固定されると氷結した道路ではそのまま滑ってしまう。それを防ぐために、ポンピングブレーキを自動で行う機構のこと)
(記載日:2007/12/7)
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