ペットボトル飲料物ってありますよね。この間外に出たら、中身を飲んだ後に放置されたペットボトルが落ちていて、その中にカビが生えてたんです。それだけならば別に何の変哲もないゴミなんですが、中にカビが生えているのを見て、少し考えました。
 まず飲み終わったペットボトルの中には、水分と糖分とアミノ酸、それに少量のミネラルが入っているわけです。そして、そこにカビの菌糸が入り、ペットボトル内部の栄養素を吸って成長します。数日後には、黒い立派なカビとして、ペットボトル内部世界に君臨するわけです。ペットボトル内部には、カビを倒すようなものは何も存在しません。もちろん、空気中の菌などは少量いるでしょうから、絶対にカビを倒せないわけではないでしょうが、カビが全て殺されるほどの事態はなかなか起きないでしょう。
 この小世界に対して、分類分けを試みましょう。まず、水は水のまま、命を繋ぐ水です。糖分やアミノ酸は食料となりうる資源、ミネラルは栄養ですが、この場合は鉱物となる資源。そして、ペットボトルを作っている樹脂は、破壊することの出来ない、世界を覆う膜、地球で言うところの大気圏と重力になるでしょうか。この世界の王者は、外部から見る限りカビです。菌類として、中にある水分や栄養素を取り込み、成長します。ペットボトルワールドの中では繁栄を極めるわけです。普通の細菌類ももちろんワールド内部には存在するでしょうが、カビを全て倒すような猛者も存在しないでしょう。つまり、この世界は、カビが全てを支配するのです。
 ですが、始まりがあれば全てに終わりは来ます。ペットボトルワールドもそれは例外ではなく、いつかは終わります。例えば、全ての栄養素やミネラルを使用してしまった場合。もちろん、カビの死骸にさらに子孫が増えることはあるでしょう。ですが、光合成を行う者のいないこの世界、酸素が尽きるのは時間の問題です。こうして、カビの一大文明は終わりを告げ、ペットボトルワールドは荒廃した生きる者のない世界へゆっくりと歩み始めることになるでしょう。

 この姿を見て、私は少し、今の人類の行く末が怖くなりました。ペットボトルワールドと多かれ少なかれ、共有する部分があるからです。この人間社会も、いつかペットボトルワールドのように崩壊してしまうのか。もしくは、フタを開いて他の新たな世界へと旅立てるのか。または、ワールドの中を少しずつ変えていき、長く生きていけるようになるのか。そういった環境問題に留意していかなければなと、たかがカビ生えペットボトル程度で考えさせられてしまいました。全ての生ある者もいつか死ぬ。諸行無常、盛者必衰の心得でしょうね。
 (記載日:2007/9/30)


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